環境NGOの植林下見スタディー・ツアー ボントック道をリアスへ


バギオを拠点に山岳地帯(コーディリエラ地方)で環境保護活動などを実施しているCGN(コーディリエラ・グリーン・ネットワーク、反町眞理子代表)が植林の為の下見を行うという目的で、スタディー・ツアーを実施されましたので、JANLからも二名が参加させていただきました。

実施期間は 2010年5月17日から20日までの3泊4日。
行程の全てを CGN所有のジープニーで踏破しました。
行程は バギオ(Baguio) - アトック(Atok) - アバタン(Abatan) 90K - ボントック(Bontoc) - マイニット(Mainit) - マリコン(Maligcong) - バーリッグ(Barlig) - リアス(Lias) - ボントック(Bontoc) - レパント(Lepant, Mankayan) - バギオ でした。
(バギオ市からベンゲット州を抜け、マウンテン州にいたるツアー)

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最初に立ち寄ったところは アトックの戦没者慰霊碑。
静岡県の戦争体験者や遺族の方々が毎年慰霊に来ていらっしゃいますが、ご高齢の為に今後の存廃を検討されているところです。
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この慰霊碑は、バギオとボントックを結ぶ ハルセマ・ハイウエイ(ボントック道)の アトックのT字路、上のような案内板の後ろの個人の敷地内にあります。

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次に休憩をしたのは バギオから90キロ地点のアバタン。
ここは太平洋戦争フィリピン戦が終戦をむかえた折、日本軍の武装解除が行われた辺りといわれています。
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このハルセマ・ハイウエイの十字路を 右に行けば チノック(ティノック)、イフガオ方面。戦争中、日本軍が最後に集結した大和基地地区、キアンガンに至ります。 左に入れば マンカヤン(レパント鉱山)、セルバンテス方面へつながっています。

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そして、ここがボントックの町。 マウンテン州の州都。
マニラからボントックまでは おおむね400キロ。
マニラからバギオまでは 250キロくらいですから、
バギオからボントックまでは およそ150キロくらいの距離ということになります。
ジープニーでの所要時間はおよそ6~7時間。

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ボントックからさらにジープニーで1時間半ほど 山の中に分け入って着いたところがここ。
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第一日目の宿泊所、マイニット温泉郷にあるレスト・ハウス。
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辺り中に 硫黄の臭いと湯煙が立ち昇り、まるで大分・別府温泉の地獄の趣きがあります。

二日目は、
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美しい棚田で有名な マリコン村
マイニット温泉郷からボントック経由で1時間半くらい。
ガイドがいれば、ハイキングで2時間ほどかかります。
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田植えが終わった棚田(ライス・テラス)は、青々と天に向って広がっています。

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そして、そのマリコン村のすぐ近くにある 有機農法による果樹園を経営しているTさんの農園。主にマンダリン・オレンジを栽培しているとのこと。
牛、水牛の糞を肥料として使い、鶏の糞はにわとりが化学肥料を使った餌を食べさせられているので利用していないとの話がありました。

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そして、いよいよ入ってきたところが バーリッグ。
ボントックから東へ 30キロほどの山の中。 
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バーリッグの警察署、役所の前にあるこの宿に一泊。
宿泊するのに 目の前の警察署で台帳に署名するというものものしさ。
ここには携帯電話の電波も届きません。


三日目:

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そして、さらに奥地の リアス地区へ。
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この小さいバランガイは、こじんまりとして、整然と、清潔感のある地区で、高床式で質素な家々ながら、村人の仕事熱心さが伝わってくるようでした。

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村の小学校の脇には記念碑があり、戦争中に日本軍が押し寄せたことが記され、村人は山の中に隠れたとの話でした。

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この温室では、コーヒーの苗木を育てていました。
かなり苗木が大きくなってしまっているのだが、雨が足りないために未だ山に植えることが出来ないのだとか。この苗木をカゴに入れ、人力で山まで運び、植えるのだそうです。
コーヒーの加工やマーケットについての指導も必要とのこと。

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さて、この村に流れる川。 この川の向こうの山肌に果樹などの植林をしたいとの計画があるのです。 この村で有機農法で果樹栽培をやろうとするグループが 環境NGOに支援を依頼し、それに応えて 大阪のあるグループが現地調査にやって来たのです。

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元々 この周辺は この山のように 鬱蒼とした原生林。
このマウンテン州の原生林は 北はカリンガ州、東はイサベラ州への水源になっている貴重な森。
この水系を保護し、地すべりなどを予防し、叉、村の人々にとっても現金収入の道をひらく 果樹やコーヒーなどの植林が出来るかどうかを調査しているのです。

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そして、その夜は マウンテン州のバーリッグ・リアスから ジプニーを飛ばして ベンゲット州ブギアスのバンガオ(ボントック道沿い)の このホテルへ。
なんと到着したのは 真夜中に近い11時15分。
(このホテルに辿り着く30分前に、Mt. DATA ホテルに駆け込んだものの、満室の為 断られてしまいました。 保健省の職員のセミナー会場となっていたからでした。)


そして、四日目、最終日:

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マンカヤンにあるレパント鉱山のカルチャーセンター。
この鉱山は、戦時中には日本軍、日本企業によって接収されていました。
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CGNが主催する 環境教育の為の演劇制作の一環として、日本の舞踏家が振り付けの指導を実施しているところです。
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人体の骨のひとつひとつを手で触って確認しながら、それぞれの骨の役割を理解し、身体の使い方に役立てようとする試み。
指導しているのは 大阪からやってきた舞踏家の純アマントさん。


そして、レパント鉱山に別れを告げて、一路バギオへ。

四日間のスタディー・ツアーは、リアスの村人、おばあちゃん、子供たちの笑顔と、つつましくもしっかりと仕事をしている雰囲気が村のたたずまいに表れて、心に残りました。

果樹やコーヒーなどの植林が、村の人々を潤し、水源を守ることにつながることを願ってやみません。


尚、今回のスタディー・ツアーへの参加は、コーディリエラ地方における植林の実際を学ぶことに加え、JANLのメンバーとして 昨年の台風ペペンの被害がその後どうなっているのか
ハルセマ・ハイウエイ(ボントック道)の道路状況を実際に見ることにありました。

バギオとボントックを結ぶ そのハルセマ・ハイウエイの現状ですが、
結論としては これから本格的な雨季を迎えると かなり危険な状態になるものと考えられます。

バギオからアトックまでの間、特にラ・トリニダッドを過ぎてアトックまでの間の道路には台風によって路肩が崩壊した場所が数箇所以上のこっており、修復の為の材料は一部道路上に準備されているものの、本格的な修復作業が実施されているようには見えず、雨が降り続けばかなり状態が悪化することが考えられます。

叉、ボントックの手前1時間半くらいの地点からボントックまでの間についても、数箇所以上にわたって、路肩の崩壊は少ないものの、道路上への落石や崖崩れの危険性が多々みられる状態になっています。
 
実際に、私たちのジプニーが通りかかったすぐ目の前で崖崩れが発生し、危うく大きな岩の下敷きになるところでした。 経験のある運転手のとっさの機転で急停車し、後退し、崖崩れがおさまるのを待ち、事なきを得ました。

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目の前で発生した崖崩れの岩を取り除く、通りがかりの運転手たち・・・

本格的な雨季をむかえるに当たって、特に雨が降り続いている日は、不要不急のボントック道(ハルセマ・ハイウエイ)の利用は 避けられる方がよろしいのではないかと考えます。
叉、自動車を個人的に利用される場合は、山岳道路の事情に詳しく、経験のある運転手を使われることをお薦めします。












 

 
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by janlbaguio | 2010-05-21 23:54 | Neighbers ご近所情報
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